現役看護師が伝える転職前にしっておきたい精神科の仕事内容

精神科って楽なんでしょ!?
精神科ってなんか怖い・・・
ここではそんなイメージ先行の精神科について、病棟別の仕事内容をご紹介していきたいと思います。
業務手順などは病院によって違うということを理解した上で、
ざっくりと「精神科はこんな感じのところ」くらいの気持ちで読んでもらえればと思います。
 一般的に精神病院の病棟の種類は急性期と精神一般(慢性期)、精神療養という三つに大きく分けることができます。
認知症病棟やアルコール病棟などもありますが基本は上記三つだと思ってください。

 精神科療養病棟は働くのに一番優しいところ!?

まず看護師の皆さんが一般的に楽と思っている療養病棟の勤務をご紹介します。
精神療養病棟は自宅退院・社会復帰を目的としたリハビリ中心の病棟になっており、以下がその流れとなっております。
療養病棟の仕事の流れ
8:30

出勤・情報収集


9:00

申し送り


9:30

洗面介助(少数)・おむつ交換・トイレ誘導(少数)

バイタル測定

リハビリにてOT室へ送り


10:00

カンファレンス(Dr.やPSW交えて)

観察・記録(リハビリへいっていない患者)


11:30

 リハビリにてOT室へ迎え


12:00

昼食(食事見守り・介助)

服薬


12:30

休憩(1h)


13:30

リハビリにて病棟⇒OT室へ移送

個別の対応、観察、記録


15:00

OT室⇒病棟へ移送

おやつ介助・見守り

個別の対応、観察、記録


15:30

おむつ交換・トイレ誘導(少数)


17:00

退勤(5時ピン)

*曜日によって、入浴、シーツ交換などがあります。
ぴーこ
基本自宅退院を目途にできる患者が多く、患者自身のADLが高めな為、こちらの介助量は少なめだよ。OTなどリハビリ中心の病棟なのが特徴かな。
やーこ
ただ認知症の患者が多い療養病棟では精神科急性期病棟を超えるほど忙しい病院もあります。

 

精神一般病棟(慢性期)とは

次に精神一般病棟は、内科的疾患も抱えた精神疾患患者(高齢者)、慢性期型の精神疾患患者が多い病棟です。
病院の方針によって認知症患者の多い病棟であったり、男性のみの病棟であったりと、患者層は全く違います。
ここでは、内科的疾患を有した高齢の精神疾患患者の多い病棟の仕事内容を記載していきます。
精神一般病棟(慢性期)の仕事の流れ
8:30

出勤・情報収集


9:00

申し送り


9:30

洗面介助・おむつ交換(ほぼ全員)・バルーン患者の尿破棄など

バイタル測定


10:00

個別の対応(輸液管理、吸引、補水など)

観察・記録


11:30

 経管栄養患者のギャッジアップ・準備

BS測定


12:00

昼食(食事見守り・介助、経管栄養投与)

服薬


12:30

休憩(1h)


13:30

リハビリにて病棟⇒OT室へ移送

個別の対応、観察、記録


15:00

OT室⇒病棟へ移送

おやつ介助


15:30

おむつ交換(ほぼ全員)


17:00

退勤(5時ピン)

*曜日によって、入浴、シーツ交換などがあります。
ぴーこ
精神科一般病棟では、精神疾患に加えて内科的疾患を抱える高齢者が多く、点滴管理や栄養管理、口腔清拭、おむつ交換などが中心になります。療養病院に近い仕事内容です。ADLが低く介助する場面が多いから、精神科の療養病棟より体力を使う病棟です
や―こ
内科的疾患が少なく慢性期の精神疾患患者が多い病棟では、隔離室が準備されていることもあります。

救急・急性期病棟とは

精神科へ入院する患者がまず初めに入院する病棟となります。
入院期間は最長で(基本的には)90日間です。
90日間で治療が終わられない場合は、別の病棟へ転棟していくケースが多いです。
ぴーこ
精神疾患によって社会生活が困難になった人が急遽入院する病棟です。
急性期病棟の仕事の流れ
8:30

出勤・情報収集


9:00

申し送り


9:30

洗面・おむつ交換・バルーンの尿破棄など

検温


10:00

カンファレンス(Dr.やPSW交えて)

個別対応(輸液管理、外出、外泊など)

隔離・拘束患者の対応

観察・記録

入退院対応(予定入院や緊急での入院)


12:00

昼食(食事介助)

服薬


12:30

休憩(1h)


13:30

リハビリにて病棟⇒OT室へ移送

入退院(予定入院や緊急での入院)

個別の対応、観察、記録


15:00

OT室⇒病棟へ移送

おやつ介助


15:30

おむつ交換(ごく少数)


17:00

退勤(入院が遅い時間のときは少し残業)

*曜日によって、入浴、シーツ交換などがありますが、患者層が若く、ほぼ見守り程度で行えます。
ぴーこ
急性期病棟は何と言っても入退院が多い。患者層は若いけど、妄想状態が強かったり、パーソナリティ障害の方などもいて、患者層によって仕事量にとっても波がある病棟です。
やーこ
妄想が活発の方や自殺未遂をした方など、入院しないと自傷他害の恐れがある患者がどんどん入院してくる病棟です。そのため、救急・急性期病棟には、ベッド、トイレ以外は何もない保護観察室といったものも準備されています。一般的な呼び名は隔離室です。

やーこ
自傷行為が酷かったり、暴力行為が見られるような患者は、保護観察室に入るだけでなく、必要に応じ身体拘束せざる得ないこともあります。
*実際の隔離室は、病院によって違います。上記の画像はイメージ画像です。
救急・急性期の病棟へ入院する患者は、主に3ヶ月を目処に退院し、3日に一人くらいのペースで入退院があります。
救急・急性期病棟では病気のなりはじめのことが多く、症状が悪くとも、適切な治療により、劇的に回復することも多くあります。
ぴーこ
入院がなく、患者の症状も落ち着いている時は、もともと社会生活をしていたこともあり、急性期とはいえ、平和に時間が流れることもあります。
では次に精神科での日勤・夜勤での主な業務内容について説明していきます。一般科との違いもあると思うので、参考程度に確認してみてください。

日勤ですること

患者の観察・対応・記録

看護師の基本業務です。
主に患者の症状を観察し、会話の内容にも目を向けます。
保護観察室に入っている患者は、特に注意して症状や言動を観察していく必要があります。
拘束されている患者は深部静脈血栓症にも注意していく必要があります。
とにかく精神科では内服によって症状の改善・増悪が大きいので、観察、記録がメイン業務となります。
また精神薬を服用している患者は便秘傾向になりやすいので、腹部症状の観察・排便状況の確認は必須となっています。
やーこ
大腿骨を骨折していも、平気で歩いている患者もいるから観察は重要だよ。
患者によっては不安が強く何度もステーションにくることがあります。
不安が強い患者へは時間を区切って話を聞いたり、場合によっては頓服を検討するなど、その時の症状にあった判断・対応が求められます。
また精神科では、手書きの病院も多くありますので、あまりに基本的ですが、他者が読める字を書くことも大切になります。
記録は当然客観的事実を書いていくことが大切です。
特に精神科では、患者によって入院形態が違い、その発言によって対応が変わってくることもあるので、発言内容を記録に残していくは大切な業務になります。
ぴーこ
患者の言ってることを記録するのって、そんなに重要なの?
やーこ
例えば*任意入院患者が「どうしても退院したい」と言ったら、症状にもよるけど、基本的に退院することができます。だからこそ、患者の何気ない一言など注意して聞いて記録に残していくことは、患者のためにも大切なことです。
*精神科の入院形態には任意入院・医療保護入院・措置入院の3つに分けられます。

入院・退院対応

救急・急性期病棟で多い業務になります。
暴れている患者はセデーションが必要になったり、輸液管理が必要になったりすることもあるので、急性期では入院対応が一番忙しい業務内容といえます。
急性期病棟では、危険物を持ち込めないこともあり、入院時の持ち物チェックも重要な業務になります。
またスーパー救急病棟や急性期病棟などの診療加算をとっているところは、その加算要件から、入院後3ヶ月以内の退院も多くなることから、退院サマリーなどの準備も早め早めに行っていく必要があります。

服薬管理

精神疾患を有する患者には薬は非常に重要なものになります。
統合失調症や感情障害などの患者は薬を飲むことで劇的に良くなることがあるからです。
また逆に飲まないことで、症状がどんどん悪くなる患者もいます。
それほど精神科の患者にとって、薬は大切なものとなっています。

患者の中には、舌の裏に隠して飲んだふりをすることもあります。

こうしたケースでは、(薬を飲まないことで)患者の症状がどんどん悪化して、結果なかなか退院できないといったことが起こります。
こうなると患者にとっても不利益となるので、服薬管理は非常に重要な業務になります。
やーこ
退院後の怠薬によって、再入院する患者も多いので、入院中に内服自己管理をすすめていくことも大切です。

輸液管理

セデーションの必要時や肺炎などの発熱や食思不振など様々な理由により、輸液管理となることがあります。一般科では当たり前にある業務なので、多くは説明しません。
精神科では、ルートを自抜したり、抜けたりままあるので、輸液管理は重要な業務です。

処置

寝たきり時の褥瘡や入院中に外傷を負うこともあり、必要に応じて処置を行う必要があります。
一般科の看護師にはなじみ深いと思うので多くは説明しません。

身体拘束の実施・記録

患者の中には、症状が酷く、自傷他害のリスクが高い場合、やむを得ず身体拘束を行わなければならないこともあります。
一般病院に勤めていると、治療上を理由に身体拘束を行うことが、ままありますが、精神科でも珍しくはありません。
ただ経験上、精神科のほうが人権への配慮から身体拘束に対して厳しく管理されています。
そのため、拘束患者の記録は、事細かに記録することが求められます。

身体介助

高齢者の多い精神一般病棟などでは、身体介助はとても多いです。
特に入浴などはその日の一大イベントです。男の介助者がモテる日です。
療養病棟や救急・急性期病棟では、比較的若い患者が多く、介助が必要ないこともありますが、中には身体介助の必要な高齢者もいる為、そういった際は介助をする必要があります。

夜勤ですること

上記日勤帯で必要なことは、退院対応以外は夜勤でも必要になります。その他に夜勤で必要なことは以下になります。

睡眠状況の確認

精神疾患患者にとって何より一番大切なことは、睡眠による休息です。
睡眠は良い精神状態を維持するために、絶対必要なものです。
我々でも睡眠がとれないとイライラしたりしますよね?
精神疾患患者の入院までの経過を見ると、状況は個々違えど、最後は皆一様に眠れなくなって、精神症状を悪化させて入院してきます。
入院中も同様、睡眠がとれていない患者は総じて精神症状が良くないです。
こういったことから、睡眠状況の把握は必要になります。

追加眠剤、頓服薬の実施

病院により時間は違うかもしれませんが、私の病院では、20時に就寝時薬を内服、21時に消灯になります。
その後、22時より追加眠剤という形で、就寝時薬を飲んでも寝れない患者が追加で眠剤を飲みにステーションまできます。
この形は概ね精神科の病棟ではお馴染みの光景だと思います。
やーこ
精神病院では、追加で眠剤を希望する患者は、一般の病院に比べて比較にならない程多いです。
またパーソナリティ障害の方などは不安が強く、夜になるとその傾向が強くなり、頓服薬を貰いにくることが多々あります。
こうした追加眠剤や頓服薬の処理などは夜勤帯に多い業務となっています。

巡視

追加眠剤を飲んだあとの睡眠確認だけでなく、精神疾患のある方では自殺企図をもっている患者もいます。溢首(首吊)などもあることから、巡視時の所在確認は怠ることのできない業務となっています。
ぴーこ
巡視で患者の部屋に入る時って、つい、つま先歩きで歩いてしまう

 まとめ

どうですか?精神科病棟の業務が少しはイメージできましたか?
やっぱり怖いと足が遠のきましたか?
確かに精神科の病棟によっては、一般科の病院に比べて、溢首のリスクがあったり、暴力のリスクがあったりと、こちらのメンタルを華麗に削られることもあります。
しかし一般病院に比べて、時間に迫られることなく、患者へ関わることができます。
一般病院より精神的・体力的にも優しいです。
自分達の看護で精神状態が劇的に改善していくケースもあります。
是非一度、精神科を体験してみてはいかがでしょうか?きっとはまると思いますよ!
さいごに筆者がとてもお世話になった転職サイトをのせておきますので、気になる方は利用してみてください。

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