元介護士が介護の世界をあきらめて看護師を目指した理由

介護士として不満はありますか?

その不満は何ですか?

もしそれが給料や福祉業界のスキルアップに関してだったら、この先を読んでおいて損はありません。

むしろ読んでください。お願いします。

迷いある介護士さんの新たな一手となるかもしれません。

 

介護士から看護師ルートを歩むようになった理由

福祉の道へ

本気で福祉を目指している方には不快に思うかもしれませんが、自分が福祉という職業を選択したのは、単に大学卒業を間近に控え、興味のある仕事が全くなかったことにあります。

当時、就職氷河期と言われた時代に、丁度介護保険という制度ができて、世の中が福祉というものに目を向けていた時だった、ということだけでした。

なので、自分はおじいちゃん子でもおばあちゃん子でもないですし、福祉精神というようなものを毛頭持ち合わせていませんでした。

なので、当時の自分は認知症も見たことないし、下の世話など当然したことがありませんでした。

しかし仕事をはじめてみると、次第に介護の面白さに気付き、高齢者のお世話をさせてもらったり、昔のお話を聞かせてもらったりしていくうちに、「今があるのはこの人たちが頑張ってきたからなんだなぁ」と思うようになり、この仕事に誇りを持てるようになってきました。

そして仲間にも恵まれ、介護福祉士、ケアマネの資格をとり、気づくと福祉にどっぷり浸かっていました。

 

介護職は低賃金

しかし唯一ですが大きな不満がありました。

給料です。

当時、就職氷河期であったこともあり、介護士でも正社員は募集していませんでした。

今の人手不足を考えると考えられない話しですよね。。。

でも当時の社会はどの職種も正社員になることがとても難しい時代でした。

話しを戻すと、給料にはとても不満でした。

パートとして入職したのですが、夜勤を月5回やっても、手取りが16-18万円ほどでした。

ホントの話です。

正直貯金なんて少しもできませんでした。

その後、何とか正職員になることがでましたが、役職がついても、給料が20万を超えることはありませんでした。

残業があった月だけ、20万をちょい超えるくらいでした。

ケアマネの資格をとっても、夜勤なしで丁度20万程度であり、これは自分にとっては正直不満でした。

大学の同期が順調に昇給していく中で、30歳過ぎて給料が20万ということは自分には耐えられませんでした。

 

 

*2021年現在の介護士の平均月収は介護員等特定処遇改善加算込みで下記となっています。当時に比べてかなり改善されています。。。

令和2年2月
全体【平均勤続年数:9.0年】 338,340円
1年~4年 310,780円
5年~9年 326,550円
10年以上 366,900円

 

 

介護職はステップアップが少ない

そして働いていくうちに給料以外の不満も出てきました。

給料は半ば諦めていたのですが、それ以上に自分を介護職のある福祉業界から遠ざけた理由は福祉業界の環境にありました。

それは介護福祉士、ケアマネと順調に資格をとったときに気付きました。

更に自分に磨きをかけたいと思ったときに、福祉という業界では、もう目指すべき資格がなかったのです。

役職を見ても、もう残された役職は相談員や施設長くらいしかありませんでした。

現場が好きな自分としては、現場の資格が介護福祉士しかなく施設長しか目指す道がないということがとても不満でした。

自分の未来が閉ざされた気がしました。

 

福祉職から看護師への転職を考える

  • 給料が安い
  • 上級職がない

この大きな二つの不満に気付いたとき、

このままで一生終えていいのか?

将来どうなる?

結婚なんてできるのか?

といった不安がどんどん大きくなり、自分の気持ちを満たせる仕事を探し始めました。

するとそれは直ぐ近くにありました。

看護師でした。

看護師は介護士同様、直接現場で患者と関われること。

都内の看護師は平社員でも平均年収が500万近くはあり、経済的に介護士より高給なこと。

専門看護師や認定看護師という上級資格だけでなく、やる気次第で海外看護師にもなれること

これらが自分の気持ちに強烈に刺さりました。

看護師しかない。

30代にしてそう思い始めました。

 

介護士と看護師の比較

介護士 看護師
給料 250-400万 400-600万
資格 介護福祉士、ケアマネ、社会福祉士 正看護師、保健師、助産師、専門看護師、認定看護師、NP
働き方 肉体労働であり、常に腰痛と隣り合わせで、現場で一生は難しい。 精神科やクリニックなど肉体的に楽な場所を選択すれば、ずっと現場で仕事ができる。またやる気次第で海外ナースという道もある。

 

 

 

看護師のなり方

詳しくは【これから看護師を目指したい方へ】学費が安いおすすめ看護学校は?の記事をご覧ください。

 

介護士が看護師になって感じたこと

その後、無事看護師になって暫く経ったので、介護士の頃描いていた看護師のイメージと実際の看護師の違いを書いていきたいと思います。

看護師は椅子に座って記録して、楽そうにみえたが・・・

とんでもない誤解でした。

クリニックや老人ホームなどの施設はゆったりしていて楽に見えていましたが、一般病院では楽とは無縁でした。

自分は脳外科と循環器内科を5年間経験しましたが、看護師になって初めて分刻みで動くということを体験しました。

入院受け、退院出し、カテ出し、OPE出し、受け持ち業務、ナースコール対応などなど挙げればキリがないほど、業務時間中にやることがありました。

昼休憩も詰め込むように食事を終わらせて、直ぐに午後の準備を行い、勤務時間終了後に初めて記録を書く時間がもてることなど日常茶飯事でした。

そして残業も2~3時間はざらにあり、残業代もほぼ出ずといったものでした。

勿論朝も情報収集がある為、30~60分前にくるのは当たり前です。

また勤務形態も3交代であった為、日勤勤務を終えて21時に帰宅し、深夜勤務の為、0時に家をでるといったこともありました。

そうなってくると、もう常に病院にいるような感覚で、休みでも休んでいる感覚はありませんでした。

介護士の時に、記録をしている看護師を見て楽そうに見えていたのは、椅子に座って記録している姿だけを見て、座る = 楽している、肉体労働の疲労 > 記録の疲労 と思っていただけであり、実際は空いている僅かな時間を使って集中して記録しているのが現実でした。

介護士時代でも入浴など分刻みで考えて業務を行ったことはありましたが、沢山のタスクを頭の中で優先順位をつけながら、ほぼ分刻みに同時にこなしていく業務は、介護士時代にはない体験でした。

看護師は動いていないように見えても、頭の中は煙が出るほど動いています。(これ本当です)

 

介護士より高給取りに思えたが・・・

給料に関しては介護士の時よりは年収100万以上は増えました。

都内の病院なら手取りで25万超えるとこはざらにあり、3年ほどの看護師経験があれば、派遣などを使って、年収ベースで540万以上稼ぐことも可能です。(実際に稼いでいました)

またCROなどに勤めれば看護師でも700万近く稼ぐことは本当に可能です。

 

結論:看護師は給料面に関しては介護士より確実に多く稼ぐことは可能ですが、超忙しいです。

 

看護師はステップアップが多いように思えたが・・・

最近では介護士も日本介護福祉会認定による専門介護士といった制度ができ始めましたが、まだまだ未整備です。

しかし看護師はスキルアップ・キャリアアップとして保健師、助産師、専門看護師や認定看護師、海外ナースではNP制度などもあり、自分の意志一つで道を切り開くことができる制度があります。

また認定看護師などは病院で積極的に受け入れを行い、活躍の場も実際に広がってきており、上級資格取得での差別化が始まってきています。

その為、介護士より看護師の方がステップアップの道は充実しているのは確かです。

 

福祉職と似たような仕事内容に見えたが・・・

業務によっては看護師も介護士と同じ業務を行いますが、基本分業が進んでおり、やることは全く違います。

介護士は患者や利用者の身近なケア全般ですが、看護師は医師との連携、補助や患者の身体管理を行います。

看護師は基本エビデンスを基に行動するので、介護士の頃、よく口にした「(患者が)何かいつもと違う」といったシックスセンスのような感覚を、看護師になって使っていると怒られます。

看護師になると何がいつもと違うのか、その症状によって、普段のバイタルと比べてどうなのか、現病歴、既往歴はあるのか、薬は何を飲んでいるのか、食事状況、栄養状態、排泄状況、採血結果はどうなのかなどなど様々な情報から必要な情報を選択します。

看護師はエビデンス(科学的な根拠)に基づいて行動しなければなりません。

なので新人の頃は「根拠」と言った言葉を耳にタコができるほど聞かされます。

 

というわけで、介護士と看護師では何だかいろいろ違います。

 

 

看護師に向かない介護士とは?

 

最後に介護士から看護師になって思った、看護師に向かない介護士とはどういった人なのかを生意気ですがお伝えしておきます。

考えることが苦手な人

上記、「福祉職と似たような仕事内容に見えたが・・・」でも説明しましたが、看護師は根拠に基づいて異変と判断することを求められます。

例えばいつもより食欲がない患者さんがいるとして、なぜ食欲がないのか、バイタルサインはどうなのか、栄養状態は、便はでているのか、他に違った症状はないかなど様々な角度から情報を分析して異変の原因に辿り着こうとします。

なので、看護師は、常に考えるといったことを求められる職業ですので、考えることが苦手な人には向かない職業だと思います。

 

スケジューリングが苦手な人

前述しましたが、一般の病院で働く看護師の業務内容は異常に忙しく多岐に及びますので、事前のスケジューリングが重要になります。

ここでしっかりとした計画を立てておくことで、業務の抜けがなく、スムーズに業務を遂行できるので、スケジューリングのスキルは必須です。

これがうまくできていない看護師は業務が滞ったりして患者さんに迷惑をかけてしまいます。

 

柔軟性に欠ける人

前述しましたが、看護師の業務内容は異常に忙しく多岐に及びますので、常に優先順位をつけて行動することを求められます。

またスケジューリング通りに業務を進められていても、ナースコールやOPEが押したりすることで、思うように業務を進められなくなることもままあります。

その為、そういったイレギュラーが起きた際にも慌てず柔軟に対応することを求められますので、決められた通りの動きしかできないような人には向かないと思います。

 

他には礼儀や謙虚さなど仕事をする人として必要なものはありますが、これは社会人に必要なものであって看護師に限ってのことではありませんよね。

 

看護師を目指す介護士さんへ最後に伝えたいこと

どうですか?あなたは看護師に向かない特徴に当てはまりますか?

看護師になるのをあきらめますか?

でも介護士から看護師になった自分が言わせてもらうと、

 

絶対、看護師になった方がいいです。

 

いま現在、自分に足りない看護師になるためのスキルも看護学校でみっちり鍛えられます。

そして現場に出れば否応なく体に染みついてきます。

なので、心配せずとも大丈夫です。

 

最後に給料や福祉業界に不満のある介護士さんへもう一度伝えておきます。

 

不満は解決するので、絶対看護師になった方がいいですよ。

最新情報をチェックしよう!