「看護師資格をとったけど、自分には合わない」
「看護師を辞めたいけど、後悔しないかな」
そのような悩みを抱えながら、ずるずると看護師を続けている人は少なくありません。
実は私も同じ理由で4年目に退職しました。
その後、結婚・出産などを経ながら、看護師として働き方を変えてきました。
この記事では、私自身の体験談や、まわりの看護師友達の転職・退職事情なども踏まえて「看護師を辞めても幸せに生きれるか?」について解説しています。
「看護師を辞めたいけど、辞めるのは怖い」と思っている方にとって参考にしていただけるとうれしいです。
【結論】看護師を辞めても幸せになれる!
結論からいうと、看護師を辞めても幸せになれますし、看護師を辞めたら不幸になる、人生で失敗するということはありません。
綺麗事ではなく、自分自身の経験とまわりの看護師仲間をみていても言い切れます。
一度も辞めずに続けている看護師は一握り
私のまわりでは、新卒で入った病院で今も働き続けている看護師はほんの一握りです。
病院にもよるかもしれませんが、私が働いていた病院の離職率は高く、看護師の平均経験年数は3年。
その主な理由は「激務」「人手不足」というものでした。
看護学校の同級生はみんな、同法人の病院に就職したのですが、10年後には10人ほどしか残りませんでした。
私も4年目で辞めた人間ですが、3年目をすぎると、どんどん同級生は辞めていきました。
海外に留学する人や、まったく別の仕事をはじめる人もいましたし、ほかの病院で看護師をしてたいたり、結婚を機にパートなど働き方を変える人もいました。
その様子をみてきたので、辞めること自体をネガティブには思っていませんし、むしろ合わなければ辞める。やりたいことをする。というのは当たり前のようにも思っています。
幸せになるのも不幸になるのも自分次第
看護師を辞めても幸せに生きられるか?キャリアはどうなるのか?を気にされる方は多いですが、辞めるにしても続けるにしても自分次第だと思っています。
前の職場の師長は、とても人望があり、スタッフからも慕われていました。
ずっとバリバリで働いてきたのかと思っていたら、子どもを産んでから10年くらいは専業主婦だったと言っていました。
子育てが落ち着いてから復帰し、働く中で師長になったそうです。
一方で、出世願望があり仕事も一生懸命していたスタッフがいたのですが、新人へのあたりがキツイということで、ずっと役職がつかない人もいました。
自ら主任に立候補するほどの人だったのですが、まわりが支持していないということで選ばれず、まわりが自分を評価してくれないという理由で、さらにまわりへの当たりがキツくなっていきました。
出世できないのは本人に原因があるからなのですが、それを本人が自覚できないために、思い通りのキャリアが積めていません。
そのような2人を見ていると、「看護師を辞めたら幸せか、不幸か」では図ることはできず、キャリアも幸せも自分次第だと思いました。
いつでも転職できるのが看護師資格の強み
看護師資格の一番の強みは「いつでも復帰できる」というものです。
ほかの仕事ではそうはいきません。
どんなにキャリアを積んでも、退職してしまったら何も残らない職業だってあります。
そのような人生の保険をもってる時点で、幸せだと思います。
私も「いつでも復帰できる」と思うことで辞めることができましたし、実際に転職もすぐにできました。
今は現場で働いているわけではありませんが、「何かあれば現場で働けばいい」と思うことで、他の仕事に挑戦できています。
実は私の母も看護師で、母も2年ほど急性期病棟を経験した後、15年ほどは専業主婦をしていました。
子育てが落ち着いたタイミングで近所のクリニックで働くことにしたのですが、私が看護師になったのは、そんな母から「とりあえず看護師の資格をもっていたら食いっぱぐれることはない」と言われたからです。
辞めたら幸か不幸かではなく、いつでも復帰できるという切り札をもてることがすでに幸せなんですよね。
一度、ほかの職場を見てみることは大事
看護師の仕事が嫌なのか、今の職場が合わないだけなのか、これは他の職場を見てみないことにはわからないものです。
新卒で入った病院はとにかく激務で、残業や委員会のための休日出勤も当たり前。
何かあれば「看護師として自主的に」と言われていたので、本当に仕事が嫌で嫌で仕方がありませんでした。
退職後、透析クリニックに転職したのですが、透析クリニックでは残業はなく、仮に残業になってもきっちり残業代が払われたので納得して働くことができました。
また時間に追われることも少なかったので、患者さんとしっかり向き合うことができ、看護の面白さを感じることができました。
どんどん新しい取り組みをする病院だったのですが、休みや労働時間は守られていたので、新しい取り組みも「面白い!」と思いながら取り組むことができました。
前の病院であれば「なんで仕事ばかり増やすんだよ!」と思っていたはずなのに、環境次第で感じ方って変わるんですよね。
また、病院によって考え方や方針は異なるので、病院自体を変えてみることで社会人としての知見を広げることもできます。
最初の病院では「ナースコールで要件は聞いてはいけない」と言われていました。
「少々お待ち下さい」といって、訪室してから要件を聞くのがマナーだと教えられていたのです。
でも、転職後の病院では、みんなナースコールで「どうしました?」と聞いていました。
どちらが正解、不正解かはわかりませんが、今働いてる病院の方法がすべてではないことに気づけましたし、自分の経験を常識だと思ってはいけないんだということに気づけました。
「ここの常識が、社会の常識ではない」ということに気づけたことは、その後の人生のなかでも大きく影響しています。
「なんでそんなことも知らないの」「そんなの常識でしょ」と指導する人がいますが、そのような指導をしている人ほど、転職経験がないことが多いです。
「なんで知らないの!」なんて言われて気分のいい人なんていませんし、そもそもその常識が常識でないことに気づけないのも見方によっては幸せではないと思います。
続けるのも、辞めるのも、そこで自分がどのような経験・考え方を積むかではないでしょうか。
看護師を辞めて後悔するケースって?
看護師を辞めること自体で、幸せか不幸かはわかりません。
でも、「辞めたことが合わなかった」というケースはあるのでご紹介します。
いつでも復帰できるから後悔してる人は少数派
退職後、ワーホリとして海外に留学する看護師も多いです。
私の友達も3名ほどワーホリをしました。
でも、最終的にみんな看護師に戻っていました。
看護師として働いていると、ほかの仕事が羨ましく感じることもありますよね。
「海外で楽しく暮らす」という言葉に憧れをもつこともあるでしょう。
人生経験として体験するのは楽しいみたいですが、辞めてみることで看護師の良さを再確認することもあるみたいです。
かといって、みんな辞めたことを後悔しているわけではありません。
帰国後に友人が「海外にでて、自分が自分の国のことを語れないことが恥ずかしいと思った。もっと自国のことをしらないといけないと思った」と話していたので、彼女のなかで気づきや学びはあったのだと思います。
ほかの世界を見てみることで、自分の人間としての成長の機会をつくることができます。
でも「やっぱり戻りたい」と思った時は、いつでも復帰できるので後悔すること自体は少ないといえるでしょう。
辞めたけどすぐに復帰する人も多い
看護師の仕事に疲れていたり、業務や時間に追われていたりするとやりがいなどを感じることが少ないですが、辞めてみることでやりがいなどに気づけるケースも多いです。
「もう急性期なんて無理!」と思って退職し、ほかの仕事に就いた人が物足りなさを感じたり、やりがいを感じられなかったりして、すぐに急性期に復帰することも多いです。
なんだかんだいっても、人に感謝されたり、患者さんがよくなっていく姿を見れる仕事が好きだったのかもしれません。
こういうのも、一度離れてみるからこそ、気付けるのかもしれませんね。
お金のことだけは注意して!
看護師を辞めて後悔するケースとして、「お金の問題」があげられるでしょう。
看護師の仕事自体はいつでも復帰できるので、退職そのもので不幸になることはほとんどありません。
しかし、これはお金に関する問題をクリアしている場合に限ります。
退職を考えてるあなたも「お金の問題」だけは、確認してから退職するようにしてください。
まず奨学金ですが、看護学校のほとんどがお礼奉公として2〜3年働いたら返済不要になる契約になっていると思います。
逆に、契約期間内に退職する場合は、残りの奨学金を返済しないといけません。
なので奨学金を返済しないといけない場合、退職しても返済できるお金はあるのかの確認は必須です。
そして退職金や失業手当は条件があるので、こちらももらえる前提で考えるのではなく、自分はもらえるのかの確認も必要です。
退職金の条件は病院によって異なるので、確認してください。
失業手当は、
・失業状態(働く意思や能力はあるにもかかわらず、就職できていない状態)である
・離職日以前の雇用保険加入期間が、原則として退職日以前の2年間で通算12ヶ月以上ある
・ハローワークに求職の申し込みをしている
という条件があります。
年齢によっても失業保険の上限額は変わりますし、自己都合で退職した場合は3ヶ月間の給付期限があり、会社都合による失業の方より受け取りも後になります。
お金に余裕がある人は別ですが、失業手当を奨学金返済にあてようと考えている場合は、必ずいくらもらえるのか確認しておきましょう。
転職でリセットすることで幸せになれるケースも
人間関係を理由に転職する場合は、自分の立ち振舞いを変えてみることも大切です。
「先輩が悪い」と言ってしまうのは簡単ですが、自分自身が変わらないことで、転職後もずっと人間関係に悩むことがあります。
一方で、自分の立ち振舞を変えることで、働きやすい環境を作っていくこともできます。
看護師の職場は女性社会でもあり、第一印象で失敗したためにずっと目の敵にされているなんてことがあります。
とくに新卒で入った場合、社会のルールが理解できずに失敗したなんて人もいることでしょう。
それで「この子は常識がない」「この子は要注意」と言われてしまっている場合は、環境を変えてしまうことで、働きやすくなる可能性が高いです。
ただ注意しないといけないのが、次の職場でも同じことをしないこと。
新しい職場では、「先輩はどういう後輩をかわいがるのか」「ダメな新人と思われないためには、どう振る舞ったらいいのか」を意識しておくと、人間関係のトラブルを減らせます。
私は、新卒の時は「就職後も勉強しないといけない」と思ってなかったので、まったく勉強しておらず、それによって非常に怒られ、申し送りの時にもたくさん詰問されました。
その経験があったので、転職後は毎日たくさんの本をもっていき、休憩室でも勉強していました。
自分に知識がないので、勉強はしないといけなかったのですが、「一生懸命覚えようとしている」というのが好印象だったようで、他にも何人か同期がいましたが自分だけ詰問されにくい、優しく教えてもらえるという状況を作ることができました。
働きやすい環境は転職するだけじゃなくて、自分で作っていくという意識が大事だなと思っています。
一般病棟以外にも看護師が活躍できる場所はたくさんある
一般病棟がしんどい、辞めたいと思っている看護師は、病院や働き方を変えることで仕事が楽しく感じられるかもしれません。
一般病棟以外で、看護師が活躍できる場所はたくさんあります。
透析クリニック
私も透析クリニックで働いたことがありますが、残業がすくなく夜勤がないのがメリットです。
子育て中の主婦も多く働いているので、結婚や出産を考えている人にはおすすめです。
透析回路や業務を覚えるまでは少し大変でしたが、覚えてしまえば業務自体はシンプルです。
病院によって給料が高い病院もあり、夜勤なしで年収500万円近いクリニックもあります。
精神科病棟
医療処置が少なく、比較的落ち着いているのが精神科病棟です。
精神科病棟も残業は少ないため、ライフワークバランスを保ちやすいです。
危険手当がでる職場もあり、常勤で月給30万円ちかい病院もあります。
訪問看護
オンコールがありますが、急性期のようなバタバタ感が嫌だという人にとっては働きやすいかと思います。
訪問看護の給料は事業者によって大きく変わりますが、年収600万円の事業所もあるようです。
老人ホーム
老人ホームと一言でいっても特別養護老人ホームから有料老人ホームまで幅広く、仕事内容も変わりますが、全体としてゆったりしたケアができます。
時間に追われて心が消耗していた人にとっては、やりがいを感じられるかもしれません。
老人ホームは、その地域でいう平均的な看護師年収のところが多いですが、有料老人ホームなど介護保険ではなく民間で運営されている施設は、給料形態が大きく異なります。
企業ナース
企業ナースとは、企業で働く看護師のことで、社員のヘルスケアを担うナースと、営業や治験コーディネーターとして働くナースがいます。
イベントなどに派遣されて働く「イベントナース」「ツアーナース」も含まれています。
業務内容が多岐にわたるため、求人情報でどのような業務をするのか確認しておきましょう。
美容クリニック
給料の高い働き方としても知られているのが「美容クリニック」です。
月収40万円というクリニックもありますし、パートでも時給1700円など高水準。
もともと美容が好きという方にとっては、好きなことを仕事にしながら、しっかりお給料ももらえる働き方といえるでしょう。
看護師が嫌なのか?今の職場が嫌なのか?
「看護師が向いてない」「看護師を辞めたい」という方にもう一度聞きますが、あなたが嫌なのは「看護師」でしょうか?「今の職場」でしょうか?
看護師という職業そのものを辞めたから幸せになれるのかどうかは分かりません。
でも、他の世界に触れてみることで、自分は本当に看護師が嫌なのか、職場が合わないだけだったのかは気付けるものです。
看護師はいつでも復帰できる資格なので、その資格をもっていることが強みだと思って、納得のいく働き方を探してみましょう。
その時に、奨学金や失業手当など、お金に関することだけはきちんと確認してくださいね。
最後に転職サイトを載せておきます。
退職検討している方は登録だけでもしておくと便利だと思いますよ。