2022年4月の休日。
筆者がワクチン接種のバイトをしていた際に、同じ会場の若い女性看護師から以下の質問を受けたのでご紹介します。
ワクチンバイトで生計を立ててきた20代女性派遣看護師の悩み
神奈川県:島崎さん(仮名)25歳・女性
5月からワクチンの仕事がないんですけど、今後どうしたらいいと思いますか・・・?
「病院に戻ってくれば」と言ってくれる人もいるんですけど、、、
結局続けられないと思うんですよね。
病棟は忙しいし人間関係も面倒くさいじゃないですか。
そこに嫌気がさして退職したんだし、、、
私1年しか病棟いなかったし、、、
このまま4回目のワクチン接種がはじまるまで健診やるか、それとも常勤として施設で働くか、、
どうしたらいいと思います?
いわゆるワクチン仕事難民の悩みです。
相談者のこれまでの経歴
25歳看護師、整形外科病棟経験1年。病棟の人間関係の悪さに嫌気をさして退職。キャリア浅く再就職で病棟に戻るのを躊躇していた。同時期、新型コロナウイルスの流行。ワクチンバイトという新たな仕事が創出された為、派遣として1年間働いていた。しかし1年が経ち仕事が激減。収入も不安定になってきたので、再就職(転職)を考えるようになった。
この方は、ワクチンの仕事の減少による収入減と、経験の少なさから病棟へ戻ることに不安を抱えている状況です。
現在同様の問題に悩む難民看護師さんは大勢いると思います。
ここではワクチンバイト後の看護師さんが、今後どうしていくべきかを実例交えて書いてあります。
ですが、それよりまず
『経験の浅い看護師さんに仕事はあるのか?』についてお答えしておきます!
答えは、『余裕であります!』です。
いろいろな方が「経験がないとどこも雇ってくれないですよ」と不安を煽ってくる人もいますが、実際のところ心配いりません。
看護師の場合、経験が浅くても仕事は余裕で見つかります。
ただ『仕事はあっても、できるかは別』です。
仕事ができるかは各個人のもっている特性によって違うからです。
できるかどうかは正直やってみないとわかりません。
で、話しの続きに戻ります。
なぜいきなり精神科?
島崎さんも予想外の答えが返ってきたようでキョトンとしていました。
大多数の方も島崎さんと同じ反応をすると思います。
ですが、筆者自身それにはしっかりとした理由があるので答えていきたいと思います。
でも、その前になぜ健診や老人ホームでは駄目なのかを説明していきます。
NG行動①健診では悩みが解決しないどころか増す可能性あり!
派遣のまま4回目のワクチン接種案件が来るまで、健診で凌ごうと思ってませんか?
ワクチン開始までの健診での延命。。。
確かに健診業務は看護師経験が浅くてもできますし、一定の日当を稼ぐことはできます。
一時しのぎという点ではあっている仕事かもしれません。
筆者の周りにも健診で凌ぐという話をしている看護師さんも多くいました。
ですが相談者さまの状況から考えると、それはあまりおすすめできません。
というか筆者的には全くおすすめできません。
まず相談者の抱いている看護経験の少なさを健診業務で埋めることはできません。
健診業務は採血や心電図など看護師として基本の業務しか行わないからです。
健診業務での経験年数が増えても、看護師として出来ることが少ないので自信をもつことができないです。
このループから一生抜け出せなくなります。
経験の浅さを埋めないと、ずっと自分の看護に自信のもてない看護師さんになってしまう可能性があります。
また健診業務は時給が低めです。
収入の低さは心の不安を産みます。
収入と心の安定は収入が低いほど正比例していることを忘れてはいけません。
収入が少なく看護師として自信もない。
これが健診をおすすめできない理由となります。
健診はあくまで「一定の経験を積んだ看護師さん」「扶養内で働きたい看護師さん」に向いている仕事といえます。
経験の浅い看護師さんに『健診』が向かない理由
- 看護知識・技術が身につかない。⇒ 自信がつかないので心の不安定に繋がる。
- 時給が低い。⇒ お金がないと心の不安定に繋がる。
- 期間限定。⇒ 仕事がないと心の不安定に繋がる。
因みにツアーナースという学生の修学旅行に付き添う仕事もありますが、緊急時の判断などの面で経験浅い看護師さんにはやや荷が重いといえます。
NG行動②介護施設に勤めようと思っていませんか?
次に老人ホームなどの介護施設に目がいっていると思いますが、ここも経験の浅い看護師さんにはおすすめできません。
経験の浅い看護師さんにとって、健診よりむしろおすすめできません。
理由としては介護施設は医療施設ではなく看護師が少ないからです。
施設看護師の役割は利用者の健康管理が中心となります。
一見すると簡単なように思えます。
ですが施設に入居している利用者は要介護認定を受けている高齢者です。
利用者は、既往歴をもっていたり、介助が必要だったり、誤嚥や転倒などのリスクが常にあります。
また寝たきりで、褥瘡があったりすると当然処置もしなければなりません。
そして施設に合った感染対策も考えなければなりません。
昨今だと新型コロナウイルスへの感染予防の対応が求められます。
経験の少ない状況で施設全体の感染対策を自信もって実施できますか?
おそらく難しいと思います。
勿論、先輩看護師さんなどが勤めていれば、先輩を中心に業務を実施できます。
でも施設によっては、ほぼ派遣看護師だけで回している施設もあります。
そうした際は自身が積極的に動かないといけなくなります。
またオンコール(電話登板)もあります。
夜中だろうと突然電話が掛かってきて、眠い目擦って施設へ行くこともあります。
介護士さんへの指示もしっかり伝えておかないとなりません。
看護師は施設全体の健康を守るために、あらゆることに目を配る必要があるからです。
だから、病院に比べて看護師一人に占める役割・責任が非常に大きくなります。
また基本的に医療行為をしないので、基本的な看護技術の成長が難しく、その施設を退職した際も看護技術に自信をもてないままとなってしまう恐れがあります。
経験の浅い看護師さんに『介護施設』をおすすめしない理由
- 緊急時の判断を求められる ⇒ 判断が難しく却って自信をなくすことに・・・
- 感染対策など施設全体の衛生管理も必要 ⇒ 知識・決断が必要であり難しい・・・
- 休みがとりづらい ⇒ 体力的にきつい。
- 看護技術の成長が難しい ⇒ 技術がないままで自信がつかない。
NG行動③経験浅い看護師さんでもクリニックなら大丈夫!?
次にクリニックはどうでしょうか?
OPEもなく、ママさん看護師も多いことから、クリニックは働きやすいと思われています。
確かにクリニックは病棟業務に比べると、イレギュラーが少なくやることが決まってくるので敷居は低いです。
基本は診療の補助業務であり、採血や点滴、心電図検査など病棟と変わらない仕事もあります。
*備品の管理、発注、電話対応といった仕事もあります。
命に関わるような患者がいないことや業務内容の簡易さから移行しやすく人気を集めています。
ですがデメリットも当然あります。
専門的な知識が必要なクリニックでは、病院同様、自らすすんで学ぶことも求められます。
忙しいクリニックでは残業も普通にあります。
そして何より小規模な施設なので、クリニックは一般病院より女性社会です。
少数の女性社会であることから、うまく立ち回れる方は大丈夫ですが、コミュ力に自信がなかったり、気が合わない先輩がいると少数のコミュニティのため詰みます。
給与は一見高いように思えますが、ボーナスがない分、年収ベースでみると病棟看護師より低いです。
そして老人ホーム、クリニックともに共通する最大のデメリットとしては、
『介護施設もクリニックも看護師数が少ないことから、急な休みや長期休暇が取りづらい』
ということです。
理由は看護師数の少なさです。
休むことによる勤務者へのしわ寄せはかなり大きいです。
はじめのうちは笑顔で受け入れてくれていても、休みがちになると居場所がどんどんなくなってきます。
また長期休暇取得も、自身の休暇中に他の勤務者が連勤を強いられるケースがあるので、事前に了承を得ておかないといけなかったりと何かと気を遣います。
コミュ力が高かったり、仕事ができれば、そういった意思表示も自信をもって通せますが、
中には、
「仕事ができないのに休んでばかり」
と心ない陰口を叩く人もいます。
このように一見クリニックは気楽に勤めることができると思いがちですが、病棟以上に気を遣う職場でもあります。
経験の浅い看護師さんに『クリニック』をおすすめしない理由
- 女性社会 ⇒ 高いコミュ力が必要・・・
- 休みがとりづらい ⇒ 周りへの配慮が必要・・・
- 給料が低い ⇒ お金のないと心の不安定に繋がる
- 社会保険を完備していないクリニックもある
常勤で精神科病院が最適解の理由
では当初に伝えていた通り、精神科が経験少ない看護師さんに向いている理由をお伝えします。
『健診』『介護施設』『クリニック』にはない『精神科病院』のメリットは沢山あります。
精神科病院で得られるメリット
- 知識・技術が身につく
- 人間関係が楽
- 休みがとりやすい
- 定時で帰れる
- 勤務直前の出勤OK!
- 年間休日数が多い
- 有休消化ができる
- 安定した給料が確保される
- 常勤であれば不安を抱かない
- 副業も余裕
- 急変が少ない
- 社会保険に加入できる
ざっくり並べてもこれほどのメリットがあります。
それぞれについては以下で説明します。
知識、技術が身につく
精神科病院は一般病院のように忙しくないので、経験が浅くてわからないことが多くても、ゆっくり学んで知識、技術を身につけることができます。
精神科では、一般的な看護知識・手技がないと思われがちですが、病棟によって点滴や経管栄養、吸引等が必要な患者は普通に入院していますので、一般的な看護知識・技術ともに学べます。
また一般病院で働いていた看護師さんも普通にいる沢山学ぶことができます。
人間関係が楽
精神科病院は一般病院に比べて男性職員が多いです。
忌憚なく言わせてもらうと、男性職員が多い職場では気を遣う必要が殆どありません。
男性は女性に比べて視野が広くないので、あまり誰が今何をしているのかを把握しようとしません。
それより自分に与えられた仕事に集中する傾向にあります。
女性職員の多い職場ではこういうわけにはいきません。
視野を広くもち、協力体制を整えながら仕事を遂行していく必要があります。
なので我関せずに仕事へ集中できる環境を好む方は、男性の多い精神科病院は向いているといえます。
休みがとりやすい
精神科病院は、クリニックや老人ホームに比べて、圧倒的に看護師数が多いです。
勿論、その分患者数も多いのですが、看護師の総数が多いので、急な休みでの同僚へのしわ寄せは圧倒的に『介護施設』『クリニック』に比べて少ないです。
定時で帰れる
精神科病院は急性期でなければ、まず残業がありません。
退勤時刻を待つことも多くあります。
精神科に関してよく聞かれる「残業なし」は本当です。
お子さんを抱える看護師さんにはとても助かります。
クリニックや老人ホームも精神科に比べると残業はあります。
勤務直前の出勤OK!
精神科病院は一般病院に比べて毎日の情報収集の量が少ないので、病院特有の勤務1時間前出勤というような流れがありません。
勤務直前の出勤でもOKです。
というより早すぎると逆に「遅く来なさい」と注意されることもあるくらいです。
「明らかに業務上必要な情報収集なんだから、勤務時間に含めろよ!」といった一般病院で抱く不満とも無縁です。
年間休日数が多い
精神科病院は一般病院と比較して、年間休日数が多い傾向があります。年間120日前後の休日はざらにあります。
介護施設では年間105日前後が主流なので全然違います。
一日のお給料を2万円と考えると、年30万円の差がでることになるので、これは見逃せない点です。
有休消化ができる
一般病院では泣きながら捨てた有休が、精神科病院では好きなときに好きなだけ使えるのが圧倒的な強味といえます。
安定した給料が確保される
派遣と違い常勤はその日暮らしではありません。
常勤は安定した給与が保証されるので、「今月は仕事がなかったから給与がほぼない・・」といった不安とは無縁となります。
因みに精神科では年収500万を超える病院は沢山あります。
常勤であれば不安を抱かない
派遣と常勤の大きな違いは圧倒的に不安の有無にあります。
人は不安に心を支配されると気分が常に緊張状態となり、心身の健康を削がれます。心の安定を取り戻すなら絶対常勤です。
不安は不安定な状態があると産まれるものであり、生活の不安、お金の不安、心身の健康状態の不安などが代表的です。
常勤はお金の不安、生活の不安を解消し、精神科病院の仕事は腰痛やうつなど心身の健康の不安を解消できます。
副業も余裕
精神科病院は一般病院に比べて労働量が少ない為、心身ともに余裕ができます。
一般病院に勤めていた看護師さんが、精神科病院へ転職してから副業をするのを結構みます。
「体力的に楽だから」というのが一番の理由のようです。
副業のパターンとしては、『本業の夜勤明けた日に副業で夜勤入りするパターン』『休みの日に副業で日勤をするパターン』が多いです。
急変が少ない
精神科病院では、精神疾患の症状(幻聴や妄想、うつなど)によって行動が左右されることはあっても、精神疾患自体が急変をもたらすことはありません。
勿論、内科的疾患を抱えた高齢な患者などの病棟では急変もありますが、一般病院に比べると圧倒的に急変は少ないです。
社会保険に加入できる
これは精神科病院というより、常勤になった際のメリットですが、社会保険(健康保険)に加入できるのは大きいことだと思います。また厚生年金も雇用主と折半になるのでお得です。
ほとんどの派遣の看護師さんは、国民健康保険+国民年金を払っていると思うので、社保に加入できるのは常勤の高いメリットといえます。
精神科病院で生じるデメリット
一般病院に戻る際に勇気が必要になる
精神科病院に慣れすぎてしまうと、一般病院に移る際に勇気が必要になります。
精神科病院より一般病院の仕事のペースが速く、仕事量も膨大だからです。
これはしょうがないと思います。
ですが私の知人で精神科から救命救急センターへ移り、現在もそこの師長として奮闘している看護師さんもいるので、気持ち次第で戻ることは十分可能です。
でもいきなり派遣で勤めていたのに、常勤しかも精神科なんて抵抗がある。。。
なんか怖いし、、、
そういった理由もわかりますので、下記記事も読んでもらえると精神科について少し理解できると思います。
そして魅力もわかると思います。
精神科の仕事内容を知りたい方はこちらもご覧ください。
さいごに
結局のところ、経験の浅さを埋めるためには、どこかの病院へ勤めなければ埋まりません。
でも勤めさえすれば経験の浅さも解消するし自信もついてきます。
そうすれば同期に後れをとることもありません。
だからこそ精神科病院をおすすめします。
精神科で内科的疾患も見れて精神疾患も理解できるようになったら、それこそ幅が広がりますよ。
メンタルヘルスは今後もっと注目されるようになるし、やってみても合わないようなら「退職すればいい」、ただそれだけのことです。
看護師は引く手あまた!若いうちはあっという間です!人生一度!若いうちにどんどんチャレンジしてみることをおすすめします。
精神科に少しでも興味のある方は筆者も利用した以下の転職サイトがおすすめです。