看護師が大手外資CROで年収700万超えも、結局一般病院に戻った理由

県立病院に勤めていた元看護師、大手CROへの転職時は給料も上がると喜んでいました。

しかしその看護師Aさんはわずか1年足らずで、一般病院へ戻っていきました。その理由はなぜでしょうか?

ですが、そもそもCROってどういう仕事をするのか看護師の方はご存知ですか?

看護師として普通に勤務していると、その情報に触れることは殆どないと思います。

話しを聞くまで私も全く知りませんでした。

ここでは当時の私のように何もわからないけど、何だかCROに興味があるかも?といった方へ向けてAさんの経験談をもとに説明していきます。

因みにCROなどへの転職を考えている方は30代前半までがギリギリだと思ってください。

それ以上の年齢になるとCRO経験者でないと募集がなくなります。

 

何の知識もなく大手外資系CROへ転職したAさん

Aさんのスペック

性別:男性

年齢:33歳

学歴:看護大学卒

職歴:県立病院に10年勤務(急性期・回復期を経験)

英語力:なし

Aさんとは東京の病院でお互い派遣ナースをしているときに知り合いました。

出会うまでは、とある県立病院の外科・内科混合の急性期病棟と回復期病棟で10年間働いていたとのことでした。

安月給を理由に地方から東京へ来たとのことでした。

Aさんはよく「ほんと〇〇県の給料安かったですよ。夜勤して手取りで19万とかですからね」「忙しくてもいいのでもっと給料いいところで働きたいですわ」と給料がもらえれば忙しくても構わないといったスタンスの人でした。

なので、派遣で働いている時も、常に転職情報をチェックし、「ここはどうおもいますかね?」と意見を求められることも多くありました。

そんなある日「この治験とかを扱っている会社すごくないですか?紹介されたので応募しようか迷ってるんですけど・・」と某外資系CROの求人を見せられました。

「年収750万って書いてあるんですけど、本当ですかね?」と疑問をもっているようでした。

私はCROへの知識もなく、750万という数字だけ聞いて「高給料だしチャレンジしてみていいんじゃない?」と軽く勧めてみました。

当人も乗り気になり「それでは受けてみます」と軽いノリでした。

後日なんと受かってしまいました。

 

これだけ読むと簡単に受かってしまっていますが、後日調べるとAさんの年齢ではCRO未経験者で5%ほどの採用率だとわかりました。非常に狭き門です。看護師の病院採用面接とはわけが違います。きっと履歴書などの書類、面接時のマナー、コミュニケーション力や看護の経験値などがしっかり評価された結果だと推測できます。

 

 

ところでCROとは何?

CROとはContract Research Organizationの略になります。

日本語でいうと医療品開発受託機関となります。

なんのこっちゃわかりませんね。。。

平たく言うとCROとは製薬会社の開発した薬の臨床試験やデータの収集を代行するところになります。

まだ難しいですね。

要は、新薬が世の中にでるまでの協力をする企業です。

 

 

 

CROの中ではCRAとMRという職種に分かれて仕事をしています。

やーこ
CROで働き、新薬開発に関わる方をCRAと呼びます!

CROの基本的な仕事は製薬会社の治験代行になることを説明しましたが、その仕事一連に携わる専門職をCRA(Clinical Research Associate)といいます。

因みに専門資格ではありません。

誰でも目指すことができます。

 

ざっくりCRAの仕事を伝えると

治験業務に関わる病院などの責任・担当ドクターの選定

治験に関するスケジューリングの作成

被験者から得たデータをまとめる

製薬会社へ状況・結果を報告する

 

これらがCRAの仕事となります。

 

 

看護師AさんはCRAに配属されたつもりでいましたが、治験業務に関わるのではなく、医療機器の臨床試験のモニタリング業務を行っていくことになりました。

いわゆるMD-CRA(医療機器開発モニター)という職種でした。

CROの花形のCRAの業務に心を躍らせていたので、少しその期待は裏切られたのかもしれません。

 

ざっくりCRAとMD-CRAの違い

CRA=新薬が世に出るまでの仕事

MD-CRA=新しい医療機器が世に出るまでの仕事

 

 

気になるCRAの年収は?

大手CROに勤めるCRAの年収は一般看護師に比べて非常に高いものになります。

特に外資系の製薬会社は高給与です。

看護師Aさんは都内中心に位置するCRO最大手の外資系企業へ転職したので、転職時、年収700万になったとのことでした。

一般病院で夜勤をして年収500万くらいの看護師からすると、日勤のみで年収700万円は大幅アップといえます。

 

勤める以前に給料の提示された書類を眺めながら、その看護師は笑顔でした。

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しかし現在は都内在住年収700万のCRAではなく、平の看護師年収500万で病棟勤務しています。何故なのでしょうか?

 

 

大手外資CROへ転職した看護師が、結局一般病院へ出戻った理由

確かに日勤業務だけで、残業はあるにせよ年収700万円以上という数字は破格です。

看護師が年収700万円以上を稼ごうとするならば、役職がつくか、他の病院へのバイトを掛け持ちするなどしなければ到底たどり着くことはできません。

こういった年収は大手企業に就職できるような人材でないと稼ぐことはできません。

ではなぜこの看護師は年収700万を捨てて、年収500万円の病院へ戻ってきたのでしょうか?

 

不満1:CRAの治験業務ではなく、MD-CRAの業務に不満だった

CROに入社すればCRAと呼ばれる治験に関する業務を行えると思っていたようですが、実際に就職すると、MD-CRAという医療機器の臨床モニタリング業務だったことです。

医療機器を世に出すことも十分やりがいを感じれるとは思いますが、本人の中では今まで行っていた看護とのギャップに不満を感じていたそうです。

 

 

不満2:出張が多かった

CROでは全国各地の病院から治験の相談等もあることから出張が多いのが特徴です。

Aさんの勤める企業も例外でなく、週一のペースで日本中を飛び回っていた出張族だったでした。

病院勤めではなかった出張。

はじめは新鮮で良かったみたいですが、出張は拘束時間が多かったことから段々と不満を募らせていったとのことです。

 

 

不満3:残業代を含んでの給料だった(みなし残業)

3つ目の理由として挙げられたのは、年収700万という提示には残業代も含まれての提示だったことです。

要はみなし残業というやつです。

そのため給料の中には、毎日数時間の残業が織り込まれており、その残業代はでませんでした。

 月にすると40時間ほど残業していたとのことも「残業代が出なかった」と嘆いていました。

本人曰く「看護師でも月40時間も残業すれば年間100万円は残業代がつくから、看護師とあまり変わらない」とぼやいていました。

日勤のみ未経験の勤務1年目で年収700万近くいくのは考えられない数字ですが、看護師として東京である程度稼げるようになっているAさんからするとやや不満だったようです。

 

 

不満4:意識高い系が多い

4つ目の理由として挙げられたのは、大手外資CROには意識高い系の人が異常に多かったとのことです。

大手企業に就職するような人は、大勢の方が意識高い系だと思いますが、やはり 外資CRO でも同様だったようです。

「自己啓発本にでているような人ばかりだったw」と笑って話していました。

また「一見さわやかなのに出世争いなのか足の引っ張り合いもあって、実はドロドロしているんですよ」とも話していました。

 

筆者個人的には仕事に誇りをもつからこそ意識が高いのであって、それは悪いことではないと思うのですが、、

ただ実際に意識高い系が大勢目の前に現れたら、Aさん同様に仕事への温度感の違いを感じて居心地が悪いと思うかもしれません。

 

不満5:会社が都心のど真ん中すぎた

5つ目の不満は、会社の場所にありました。

大手CROは、その仕事の性質上、製薬会社などの近くになければならない為、都心のど真ん中にあることが多いです。

その大手CROも都心のど真ん中にありました。

看護師Aさんは、

★年収が上がる

★電車内の渋滞を避けたい

★時間を節約したい

を理由に都心のマンションに移り住むことにした結果、不満を募らせました。

家賃が倍になったからです。

東京都港区に住むのなら1 DK でも平均15万近くしますし、その近辺の地区へ移動したとしても平均10万円以上は軽くします(例えば東京の八王子などでは1 DK 7万円もあれば十分に住むことができます)。

「港区に住む」これだけで家賃は膨大になり、郊外との家賃差は年間にしたら100万円近くになります。

都内に勤めると、お金をとるのか時間節約・快適さをとるのかのジレンマに陥ります。

Aさんは都内に住むことを選び、結果的にお金を失いました。

 

 

 

 

このように大手CROでは、初めから高い年収をもらえますが、都心へ住まざる得なかったり、みなし残業で働いたり、高い仕事意識をもつ同僚と競わなければいけなかったりと、厳しい戦場だったということです。

 

大手外資 CRO から看護師の募集があって、『年収も上がってラッキー』のような軽い気持ちだけでいると痛い目を見るかもしれません。

 

その後、Aさんは大手 外資CROを僅か1年足らずで退職して、 再度転職会社から転職お祝い金をもらって、また病院勤務へ戻りました。

本人は「やっぱり看護師として看護業務をしている方が水に合う」とのことでした。

 

 

P.S. それでもCROへチャレンジしたい方へ

ちなみに、CROの案件は個人で見つけることは難しいです。

高給なだけでなく、新薬や新商品を世に出すといった開発の面白さもあり、非常に人気があるからです。

またCRO自体が専門資格でないことから、看護師だけでなく、薬剤師や臨床検査技師、他高学歴の人間も応募してくるからです。

その中から選ばれるのは至難です。

外資系大手CROなら尚更熾烈な争いです。

ただ看護師は医療現場の経験や薬の知識があり、患者やドクターともコミュニケーションをうまくとれるので、他職種に比べて優位性もあります。

 

なので、本気でCROで勤務してみたい方は転職サイトへの登録が必須です。

Aさんの外資系CROは、看護系転職サイトと一般の転職サイトからの非公開求人によって紹介されました。

非公開求人とは一般に公開されない求人であり、登録していないと求人自体に気付くこともできません。

外資系CROはこうしたところでないと見つけることができません。

以下にそのサイトを載せておきますので、興味のある方は早めに登録して求人が出るのを待つようにしてください。

 

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最後まで読んでくれてありがとうございました。

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