あなたは社会保険をしっかり理解していますか?
派遣会社を利用して派遣社員として働こうとすると、意外と知らないことが多いものです。ここでは派遣社員として働く際に知っておくべき社会保険について伝えていきたいと思います。社会保険について十分理解しており、加入できるのかのみ知りたい方は一気に下までいってください。
社会保険って何?
社会保険とは広義には医療保険、年金保険、雇用保険、労災保険、介護保険の5つを指しており、国民の生活を保障する制度になります。しかし一般に派遣社員などの「社会保険に入れるのか?」といった疑問の場合、「社会保険(健康保険や厚生年金保険)に入れるのか?」という意味で使われることが多いです。この場合の社会保険は少しややこしいですが、狭義の意味で使われています。
ざっくり分けると、会社に勤めている人は被用者保険で健康保険(社保)と厚生年金保険、主婦や自営業の方は一般国民保健の国民健康保険(国保)と国民年金に加入していると思って構いません。
ここで問題となるのが、派遣の方がどちらに加入するのかといった問題です。この答えは雇用形態により違いますので、まず各保険の違いを理解する必要があります。
健康保険と国民健康保険の違いは?
端的に言うと、健康保険と国民健康保険の違いは保険料の違いと傷病手当などの有無になります。何故同じ年収でも健康保険と国民健康保険で違いがあるかというと、事業主がそれぞれ違うからです。以下にその違いをまとめます。
健康保険(社保) | 国民健康保険(国保) | |
被保険者 | 会社員など | 主婦や自営業者 |
保険者 | 全国健康保険協会、健康保険組合 | 市区町村、国民健康保険組合 |
保険料負担 | 会社・個人で折半 | 個人 |
保険料 | 扶養者の保険料は不要 | 均等割額という加入数分の負担が必要 |
扶養制度 | あり | なし |
傷病手当金 | あり | なし |
出産手当金 | あり | なし |
他にも高額療養費などの計算方法が違ったりしますが、大体以上が健康保険と国民健康保険の違いになります。次に厚生年金保険と国民年金の違いについて説明したいと思います。
厚生年金保険と国民年金の違いは?
国民年金は基礎年金と呼ばれ、年金制度の1階部分、厚生年金保険は国民年金に上乗せされている2階部分にあたります。なので、給付される金額は当然違い、国民年金より厚生年金保険に加入していた人の方が貰える金額は大きくなります。その為、厚生年金保険の方が国民年金より納付額は多くなりますが、厚生年金保険の場合、事業主との折半になるので、実際に引かれる金額は年金支給額ほどの差はありません。
年金支給額の計算方法はそれぞれ違い、ここでは詳しく述べませんが、大まかに40年間保険料を納めた国民年金の方は毎月65,000円程、厚生年金保険の方は毎月平均145,000円の支給額となります。
このように社会保険に加入している人としていない人では手当や支給額の面で大きな違いがあります。ここまでをまとめると社会保険に加入するメリットは以下のようになります。
社会保険加入のメリットは?
- 将来もらえる年金が増える
- 障害を負い、日常生活に支障を来す場合、より多くの年金がもらえる(障害厚生年金)
- 健康保険の給付も充実(傷病手当、出産手当など)
- 保険料は会社と本人の折半で支払われる為、国民年金保険料・国民健康保険料を支払っている方は、それより保険料が安くなることがある
それでは次に派遣社員は社会保険に加入できるのかといったことについて説明していきたいと思います。
派遣社員は社会保険に加入できるのか?
社会保険の加入要件
2か月以上の雇用条件で且つ以下の条件に当てはまることが必要
- 正社員と比較して3/4以上の日数・時間の労働(週30時間以上の労働。従業員501人以上の会社なら週20時間以上で加入可。従業員500人以下の会社の場合は労使の合意により加入可)
- 1年以上の長期雇用を見込む
- 賃金8.8万円/月以上
以上から単発派遣のような短い期間の雇用形態では社会保険に加入できませんが、2ヶ月以上という雇用形態ならば社会保険に加入できることになります。まとめると以下のようになります。
各派遣形態での社会保険加入の可否
人材派遣(単発) | 単発派遣は短期間での業務形態が多く、2ヶ月以上という加入条件を満たせないので、社会保険には加入できません。単発でも派遣会社との契約が1ヶ月以上・週20時間以上勤務の場合、雇用保険には加入できます。 |
---|---|
短期派遣 | 2ヶ月以上という加入条件を満たす雇用形態ならば、社会保険に加入することができます。 |
長期派遣(紹介予定派遣) | 2ヶ月以上という加入条件を満たす雇用形態ならば、紹介予定派遣でも社会保険に加入することができます。 |
今まで社会保険に加入していた方が、転職などの際に、続けて社会保険に加入できるか不安といった場合は、以上の内容を満たした形で派遣業務に就くと社会保険も継続することができます。
どうですか?社会保険加入のメリット、加入要件などを簡単にまとめてきましたが、あなたの働き方は当てはまりますか?社会保険は将来の保険のようなものなので、派遣で生きるような方は是非加入要件を満たした条件で働くことをお勧めします。