あなたは看護師の経済的な安定感をご存じですか?
一般に不況の時などに注目される公務員。ここではその公務員と同じく不況の時などにクローズアップされやすい看護師という職業の経済力について説明していきたいと思います。
看護師の給与はどのくらいなのか?
看護師と他職種の年収を比べるにあたり、まず看護師の給与がどんなものかを見ていきたいと思います。
以下は看護専門卒・看護大学卒・勤続10年の看護師の給与範囲と比較になります。
専門卒の新卒看護師は262,074円が給与平均となっており、大学卒の新卒看護師は270,201円が給与平均となっています。
また勤続10年の看護師の給与平均額は318,010円となっており、当然ですが勤続年数により給与はあがっています。
以下は一般看護師の年齢別による給与変化のグラフになります。
因みにこの給与を12倍して、賞与を加えると年収になり、現在の看護師全体の平均年収は478万円となっています。
これは平成28年の労働者全体の平均給与422万円を大きく上回るものになります。
次に看護師の年収が労働者全体の平均年収と比べてどうなのかを見ていきましょう。
看護師の年収は労働者全体と比較してどうなのか?
国税庁 平成28年度民間給与実態統計調査を元に作成
今まで看護師の給与に関してみてきましたが、ここからは具体的に労働者との違いを見ていきましょう。
上図は看護師と男女別の労働者の年収を年齢別に比較したものになります。
これを見て気付くと思うのですが、看護師の年収は全体の労働者の年収に比べて常に高いことがわかると思います。
これは看護師の年収が全体の労働者全体と比較して年収が高いということになります。
看護師は専門職なので、高めの収入が得られるようです。
また看護師は女性が9割の職業であることから、女性の労働者との年収比較で、圧倒的に看護師の方が年収が高いことがわかると思います。
しかしその看護師の年収を上回っているのが、男性労働者の年収になります。正確には30代を超えるあたりまでは看護師の方が年収は高いのですが、35歳を超えたあたりから男性労働者の方が高くなることがわかります。
ここまでをまとめると看護師の年収の特徴としては以下のようにまとめられます。
看護師の年収の特徴
- 看護師の年収は緩やかに上昇。
- 20代までは男性労働者と比較しても圧倒的に看護師の方が年収が高い。
- 30代を過ぎてくると男性労働者の方が看護師の年収より高くなる。
- 全ての年代で労働者全体より看護師の方が年収が高い。
- 女性労働者との比較では圧倒的に看護師の方が年収が高い。
では次に生涯賃金を比較して見ましょう。以下は22歳~70歳まで働いた場合の各職業別の生涯賃金になります。
男性労働者と看護師生涯賃金の差は2,063万円であり、大きいのですが、女性労働者と看護師の生涯賃金の差は9,160万円と更に大きなものとなります。
金額が大きすぎてイマイチぴんとこない方もいると思いますが、年300万の貯金を30年間継続して達成できる金額になりますので、この金額の差はとても大きなものといえます。
看護師は男性労働者の生涯賃金を超えられないのか?
年収比較でいくと、40歳以上になった男性労働者の方達には追いつくことはできません。
まして5000人以上を雇う大企業の年収などには遠く及びません。しかしこの話には続きがあります。以下の60歳以降の年収比較を見てください。
政府統計 賃金構造統計基本調査を元に作成
これを見ると、看護師の年収が65歳を境に再度男性労働者を追い抜くことがわかります。
そうです。定年後、男性労働者はガクッと年収が落ちるのに対して、看護師は年収の落ち方がとても緩やかで、結果的に男性労働者の年収を追い抜くようになります。
年収が落ちづらい理由に、看護師は定年制度がないことがあげられます(公立や国立などには定年があります)。
これはとても大きなことです。少子高齢化から年金減額が続く社会構造、平均寿命が80歳を優に超える現在からみても、定年がなく、60歳以上でも年収が落ちないのは魅力です。
なので、健康であり、働き続けることができれば、生涯年収に於いても、男性労働者に近づくことができます。
仮に看護師の方が75歳まで働いた場合、下記図のように24,705万円となり、男性労働者とほぼ同額になります。
看護師の働く上での特徴
- 他職種に比べて看護師の年収は緩やかに下降。
- 65歳を境に看護師の年収が男性労働者を追い抜く。
- 看護師自体には定年がない為、健康ならずっと働くことができる。
さいごに
給与や生涯年収の把握は、あくまでその職業を勤め上げた場合の収入や生涯賃金を示したお金に纏わる内容であり、その職業の本質的な面白さや魅力を伝えているわけではありませんし、今現在の金銭的な悩みを解決するものではないのかもしれません。
しかし看護師という職業が、社会全体でどのような位置にあるのかを大まかな賃金比較で把握することで、賃金においても看護師という職業が魅力的だということに気付けると思います。
これを読んで看護師という職業に興味をもったり、目指したりする人が一人でも増えたらとても嬉しいです。